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2022年6月中央の動き


中央の動き


◎出世払い奨学金制度創設など提言 ― 教育未来会議
 政府の教育未来創造会議は5月10日、第一次提言をまとめた。人への投資の具体策で、現在35%の理系分野の学生割合を5割に引き上げると明記した。また、大学機能の強化では@専任教員数や校地・校舎の面積基準など設置規制を緩和A再編に向けた初期投資などを支援 ― するとともに、教育の質や学生確保の見通しが不十分な大学等の設置認可審査を厳格化する。このほか、奨学金を返還者の判断で返還できる「出世払い」の仕組み創設や自治体が奨学金返還を支援する取組推進などを提言した。これを受けて、岸田首相は「(提言実現へ)速やかに法令改正や予算措置等の準備を進め、実行に移す」よう関係閣僚に指示した。
 一方、文科省は5月23日、不登校対策の報告書をまとめた。2020年度の不登校児童生徒は19万6,127人と過去最多で、うち34%は相談・指導を受けていない。このため、全児童生徒対象のスクリーニング実施と支援ニーズの早期把握のほか、「校内教育支援センター」の充実、「不登校児童生徒支援協議会」や「不登校児童生徒支援センター」(仮称)設置などを求めた。


◎青少年のネット利用で家庭ルール無しも ― 総務省
 総務省は5月10日、青少年のインターネット利用のペアレンタルコントロールの調査結果を発表した。保護者が青少年のインターネット利用を管理する「家庭内ルール」が一つもない家庭が37%あり、「家庭内ルールあり」に比べトラブルに遭遇する傾向が高かった。具体例では、「インターネットを通じた知り合いに性的な自画像を送信」「実際に会って性的暴力を受けた」などがあった。一方、フィルタリングサービスでは、「Webフィルタリング」(76%)、「アプリフィルタリング」(46%)が多く、「スマートフォンの利用可能時間帯の設定・制限」も41%あった。また、フィルタリングサービスに「お金を払っても使って良い」とする保護者は30%いるが、同サービスの機能を理解していない保護者が多いことも分かった。
 このため、報告書は@フィルタリングサービスの導入促進と家庭内ルールA保護者のニーズの高い情報を優先しつつ「設定サンプル」例示Bアプリの推奨年齢・対象年齢を守る ― などの啓発強化を要請した。
◎災害復旧の査定では優先順位の考慮も ― 国交省
 国交省は5月11日、市町村の災害復旧事業に対する支援方策のあり方をまとめた。市町村では土木関係職員が慢性的に不足、災害復旧事業の体験者も限られているため、3月22日にまとめた市町村の災害復旧事業円滑実施ガイドラインで、平時からの災害対応力底上げを求めたが、新たに@国交省の緊急災害対策派遣隊の要請や災害復旧実務の専門人材・組織を活用A簡素化した査定で必要最低限の事項のみを決定し、その他は詳細設計協議で決定B査定準備段階から優先順位を考慮し緊急度の高いものから早期に査定申請 ― などを要請。「査定前着工」の取組の周知も求めた。
 一方、内閣府は5月27日、防災・復興分野での女性の参画状況を発表した。防災・危機管理部局での女性職員の割合(昨年末)は、都道府県は11.2%に止まり、最高の宮城も20.3%、秋田、富山、福井、沖縄の各県はゼロだった。市町村は9.9%で、最も高い大阪府は15.1%、長野県は3.5%で最も低かった。さらに、1,078市町村(61.9%)で女性の配属がなく、同ゼロ市町村の割合は東京都が27.4%で最も低いが、長野県は87.0%の市町村で女性の配属ゼロだった。
◎町村のデジタル化推進で「十箇条」 ― 全国町村会
 全国町村会は5月16日、町村からの地域情報化研究会報告書を発表した。デジタル化に関する町村アンケートでは、「積極的に導入・推進」は2割に止まり、課題では「体制整備・人材確保」(26%)、「予算確保」(25%)が多かった。このため、コロナ感染症拡大を契機に行政のデジタル化が一層求められるとし、町村長のリーダーシップと職員の意識改革・育成、業務内容の見直しと業務棚卸、外部のデジタル人材の活用などを提案。併せて、「町村からのDX推進十箇条」も示した。また、町村のデジタル化推進と職員育成に向け「全国町村会デジタル創発塾」を開講する。
 一方、全国都道府県議会議長会は4月28日、議会のオンライン委員会に関する報告書をまとめた。オンライン化で平時・災害時・コロナ禍にかかわらず開催できるほか、有識者からの意見聴取でも有効だと指摘。完全オンライン化、一部・全委員のオンライン化などのパターンを示すとともに、オンライン委員会開催の手続、起立裁決・投票についても具体例を示した。なお、オンライン委員会は16都府県で実施されている。
◎仕事と子育て両立の環境や勤労者皆保険整備 ― 政府
 政府の全世代型社会保障構築会議は5月17日、中間報告をまとめた。「未来への投資」の具体策に、@「仕事と子育ての両立」実現のため育児休業、短時間勤務、保育・幼児教育など多様な両立支援策を誰もが選択・利用できる環境整備A勤労者皆保険の実現と女性の就労の制約となっている制度見直しB今後の要介護高齢者の増加を受け圏域ごとの介護ニーズを踏まえたサービスの基盤整備 ― などを挙げた。このほか、かかりつけ医機能の発揮など機能分化と連携を重視した医療・介護提供体制の改革を進めるとした。
 一方、金子総務相は5月2日、育児休業の取得回数を増やす改正地方公務員育児休業法の公布を受けて、全都道府県知事・市町村長に男性職員が育児休業をとりやすい職場環境づくりを要請する書簡を送付した。書簡は、第五次男女共同参画基本計画の男性の育児休業取得率目標(2025年)は30%で、2020年度の国家公務員は29.0%だが、地方公務員は13.2%に止まっていると指摘。組織として具体的な目標を設定し、管理職中心に取得促進に取り組むとともに、気運醸成や代替職員の確保、長時間労働の是正など環境整備も求めた。
◎戸籍の読み仮名付与で3案を提示 ― 法制審戸籍部会
 法務省の法制審議会戸籍法部会は5月17日、戸籍の氏名に読み仮名を付ける戸籍法改正に向けた中間試案を公表した。現行法では、戸籍の氏名は漢字のみが表記されるが、デジタル化の支障となっているため、読み仮名も表記する。具体的表記には、@戸籍法に規定を設けず、権利濫用の法理、公序良俗の法理等の一般原則によるA国字の音訓・慣用で表記、または字義との関連性が認められるものB音訓・慣用で表音されなくても字義との関連性が認められるなど法務省令で定める ― の3案を示した。また、既に戸籍を作成している者は一定期間内に市町村に申し出ることとし、申出がない場合は市町村長が職権で記載するとした。
 一方、デジタル庁の法制事務デジタル化検討チームは5月20日、検討結果をまとめた。「法令等のデジタル原則適合性を自律的かつ効率的に確認できる体制・プロセス構築を目指す」とし、その具体的方向性に@デジタル原則適合性確認プロセスを立法プロセスへ組み込むA執行調整プロセスを制度化B法令等のデジタル正本が常に参照できる環境構築 ― などを挙げた。
◎感染症法見直しなど議論 ― 国と地方の協議の場
 国と地方の協議の場が5月20日、関係閣僚と地方六団体代表が参加し、@「骨太方針」の策定Aコロナ感染症対策 ― をめぐり意見交換した。冒頭、岸田首相は、原油・穀物価格上昇への総合的方策を具体化するとともに、コロナ対応では「平時への移行期間として徐々に社会経済活動を回復する」とし、6月には司令塔機能の強化や感染症法のあり方、保健医療体制の確保など中長期的観点から対応をまとめる考えを示した。
 これを受けて、平井全国知事会長が原油価格・物価高騰等総合緊急対策では「我々も産業政策や生活困窮者対策を進めたい」と述べるとともに、今後のコロナ対応では「地方団体の意見を取り入れた体制の構築」を求めた。また、立谷全国市長会長は@ファイザー社ワクチンの希望者が多いため一層の供給A4回目ワクチン接種の対象に医療従事者・介護施設従事者を追加 ― するよう要請。荒木全国町村会長は、@安定した自主財源の確保Aデジタル田園都市国家構想ではハード・ソフト両面の環境づくりとインフラ整備の加速化 ― を求めた。このほか、関係閣僚から「コロナ対策を段階的に見直し、経済活動を取り戻す対策を講じていく」(後藤厚労相)、「大規模接種会場等での団体接種推進に向け都道府県も積極的取組を」(松野官房長官)、「マイナンバーカードの普及促進に積極的な取組を」(金子総務相)などの意見が出た。
◎コロナ後の平時の財政運営を ― 地方財政審議会
 総務省の地方財政審議会は5月25日、「活力ある持続可能な地域社会を実現するための地方財政改革についての意見」を提出した。コロナ感染収束後の地方財政は平時に戻るとし、これまでの国の特例的財政支援を前提としない財政運営に配慮すべきだと指摘。改めて、一般財源総額の確保と臨時財政対策債の縮小、地方財政の「見える化」推進を提言した。併せて、マイナンバーカードの普及促進のほか、@地域の脱炭素化の取組の財源確保A国土強靱化のため公共施設の適正管理の後押し ― などを求めた。
 また、財務省の財政制度等審議会は同日、「歴史の転換点における財政運営」と題する提言を発表した。コロナ感染症やウクライナ侵攻、米国の利上転換など不確実性が増大しているため、我が国では財政の対応余力をもつ必要性が高まっているとし、改めて2025年度プライマリーバランス黒字化など財政健全化目標の堅持の必要性を強調した。その上で、@ワクチン接種費用は前提変化に応じて見直すAこども政策では、税財源以外の方策も検討B修学支援新制度の機関要件の厳格化C国・地方一体の財政健全化 ― などを求めた。
◎ローカルルール見直しなど答申 ― 規制改革推進会議
 政府の規制改革推進会議は5月27日、答申をまとめた。ローカルルール見直しなど分野横断的な新たな取組のほか、@医療・介護・感染症対策Aスタートアップ・イノベーションB「人」への投資C地域産業活性化Dデジタル基盤 ― の5分野で規制改革を提言した。ローカルルールにより各種様式や法令の解釈・運用が自治体ごとにばらつき、企業等の負担となっているほか行政に対する不公平感・不信感も助長していると指摘。「分権化すべきは政策で、書式・様式等の業務の細目ではない」とし、企業活動の広域化・行政手続のデジタル化を踏まえた手続様式の標準化、法令解釈や法令趣旨を踏まえた運用の適正化を求めた。
 一方、内閣府は5月13日、関係府省に対し自治体に求めている計画策定の見直しの検討状況の報告を求めた。地方分権改革有識者会議が今年2月に決めた計画策定の見直し原則を受けたもので、結果は夏にも有識者会議に報告する。各府省が自治体に求める計画策定の規定はこの10年間で1.5倍に増えている。

 

(井田 正夫・月刊『自治総研』編集委員・委嘱研究員、元自治日報編集長)

 

 

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